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真空を消すとどうなるのか?

ここから何もなくなったらどうなる?という疑問から、「真空」という考え方が生まれてきてはいるけれども、「いったい真空とは何なんだ」という問題に今でも明確な答えは出ていない。

一般的には、真空とは、もうこれ以上なにも消し去れない状態、と考えてもいいのではないかとは思っている。

そして、現代物理学では、場の量子論において、真空状態は基底状態にある調和振動子|0> の無限個の集まりだと考えられているのだろう、と私は思っていた。

ところが、『「シュレーディンガーの猫」のパラドックスが解けた! 』という本を読んでいて、考え方を改めなくてはならないかもしれないと思ったのだ。この本でも、当然のように、|0>を真空状態と呼んでいるだが、p123 に、『もちろん、光子ゼロの状態においては、これ以上光子を減らせないから、この状態そのものが消し去られてしまう。』と記載されていた。そしてこの実験も普通に行われていたのだ。真空状態そのものが消し去られてしまうことがある、ということなのだ!

確かに |0> に消滅演算子を作用させれば、ゼロになるところから計算を始めるわけだから当然なのだが、 "|0> に消滅演算子を作用させる"ということに相当する物理現象があるとは全く思ってもいなかったから、とてもびっくりした。まさか、この真空|0> を消去してできる 0 こそ本当の真空ではないのか?? 勘違いしていたのか?

ただ、この本での実験では光子1個を引き去ったあと、再度全体を規格化しているので、|0> も |1> もなにもない 0 という状態はまず実現しない様子であり、ほっとしたような、なんとも言えない気持ちである。

もしも空間が0で満たされていたら、生成演算子を作用させても何も生まれないので、その状況は現実的ではないということか。

とにかく、この本を読んで、97%透過ミラーと光子検出器の組み合わせで、真空状態 |0> を消すことができるという事実を初めて知ることができて嬉しい。



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